【東大の学生向け:進学振り分けに関して僕のやった下調べについて】

●おことわり
 1:進振りの点数・手続きについてのものではありません。どのような学習が出来るか、ということを調べ、志望先をはっきりさせることが目的でした

 2:僕は『教授』にフォーカスした下調べを行っていますが、友人から教えてもらった『シラバスを見て、授業に使われている教科書・参考資料に目を通す』という方法も自分の方向性と近いと感じました。あわせて試してみると良いかもしれません。


●なぜ教授にフォーカスするの?
 1:友人との出会いは運に任せるしかありませんが、「この教授に教わりたい」ということならこちらから確実にアクセスできる。
 2:興味のある教授を見つけておけば、仮に他の学科に行ったとしても、同じ学部に進学した場合授業を取る参考に出来る。
 3:個人的な理由ですが……東大に来るきっかけになったビデオで、大江健三郎が師・渡辺先生について熱く語っていたのを見て、そんな出会いがあればなぁ、と自分も思った。


●実際の過程

■1:教授リストを作る
・実際に僕が作ったものを見ていただくのが早いと思いますので以下。

・作成の情報収集には主にインターネットを用います。基本プロセスは以下。
 ①各学部のホームページを辺り、教授リストを見つける
 ②wikigoogle で専門、興味のある著書、主著を見つける
 ③東大図書館OPACでチェック、資料番号を調べる
 ④東大授業カタログ http://catalog.he.u-tokyo.ac.jp/ 

・もちろん無差別に全ての教授を載せるのではなく、紹介ページやwikiを見て、研究分野や著作に興味を覚えた場合だけこのリストに載せていきます。


■2:著書の選び方
・OPACで調べると、教授の著作が大量にある場合が多いです。僕は2冊ずつと決めていましたが、その選び方は、
 ①教授の研究分野と照らし、主著と思える本を一冊
 ②共著=20ページほどの文を寄せているものを一冊
  特にその教授が編集しているものだと「はじめに」がついていてベター
 ③「知の技法」シリーズに記事が載ってる場合はそれを参照すると良い。
  専門分野について分かりやすく・短く載っている。
 

■3:乱読・パラ読み・ノート取り
・教授リストが完成したら、乱読を開始します。
 読むと言っても、教授のやっていることや雰囲気を知ることが目的なので、一部分、またはかなりの飛ばし読みです。
 僕はここでノートを取りました(以下)

 ここまで詳細なものでなくても、ちょっとしたメモを作っておくと後で比較できるので良いと思います。
 
・かかる時間ですが、僕の場合は、教授一人あたり45分〜2時間とバラ付きがありました。
 文章の難しさや、自分の基礎知識によってかなり左右されます。


■4:パラ読みのコツ
・パラパラ読みを行う上で色々気づいた点について書いておきます。

 ①「はじめに」「序章」を一番しっかり読む:ここで本の内容、教授がどんな人かも分かる。
 序章が長い場合は、ここだけでメモを取って終わりにしたりもしました。
 ②章の始め・終わりに要約が載ってる場合はそこだけ読めばよい。
 ③「結語」「考察」みたいなタイトルの章が最後に来ていればそこだけでも可

 ④中間部分1:目次を見て興味を引かれたあたりを少しゆっくりめに読む。
 ⑤中間部分2:パラパラ広げ、図・写真が出ているところを見つけてとっかかりにして読む。

 ⑥目次、索引、文献表を眺めると、教授の「方法論」が見える場合がある。
 ex)文化人類学者の二人の先生を比較すると、木村先生が「デリダクリステヴァ・イーグルトン・バルト」と文学理論の著者、福島先生が「ウェーバールーマン」と社会学者の名前が多く出ている。


●資料
・上記に載せた二つの画像の元となる資料です。あくまでも僕の興味に沿ってのものなので、全く網羅はされていません。ご参考までに。

教授リスト:http://www.scribd.com/doc/86221050/Sin-Kyoujyu01
著書ノート:http://www.scribd.com/doc/86221381/Sin-Kyoujyu02


●おわりに:ちょっと個人的な話。
・僕は児童文学について学びたいと考えていて、後期教養→神話学→ファンタジー教育学部→児童教育→児童文学。文学部→現代文芸論→児童文学、という3つの方向でひどく迷っていたため、こうした調べものをはじめました。実際にやってみた感想としては、「今まであいまいに迷っていたものがよりはっきりと迷うようになった」という少し残念な結果ではありますが、それでも以前に比べれば変化がありました。

・特に教育学部では社会学的なアプローチが多いということを知ったこと、また表象文化論の教授のラインナップが魅力的に思えたこと、さらに文学部の各学部を比較検討できたことから、後期教養:表象文化論と、文学部の現代文芸論の二択にほぼ絞り込めました。この理由も、二つの学科だけでなく、文学部、後期教養学部のほかの学科の授業、教授も含めてのものです。

・この方式をお勧めする理由は、特に学科の名前やガイダンスでの紹介だけでは分からないことが多過ぎると感じるためです。例えば僕の場合、教育学部にいくらかはあると想像していた児童教育(就学前教育)、またシュタイナー教育など新教育の分野はシラバス、教授の研究ともほぼ皆無でした(秋田先生など数名はいらっしゃいます)

・また、教授のプロフィールや学科の説明は興味があるように思えるのに、教授の本を読んでみると結構チンプンカンプン、ということも多くありました。イメージと実際の違いが大きい場合がある、というのが僕の意見です。これを知れたことも収穫でした。

・ほかにも、歴史学からジェンダーとか、倫理学から心理学へ、など、学問が超域・学際的になっていることも学べました。上に書いたように、学科は違っても授業を受けたい教授もリストアップできました。調べた結果は無駄にはならない、ということには自信を持てます。

・みなさまの進学先決定、学習のお役に立てば幸いです。それでは。