2012-01-01から1年間の記事一覧

岡田淳さん講演会レポート

児童文学作家の岡田淳さんの講演会に行ってきました。非常に有名な方なんだけど、海外のファンタジーばかり読み漁っていた僕は、岡田さんの作品はほとんど未読で、かろうじて「二分間の冒険」だけ読んだかもなー、という程度。それでも、非常に得るところの…

東京大学E.S.S. ドラマセクション 「マクベス」 感想

パンフレットの最初に書かれた文字『「演劇」は「エンターテインメント」です』を呼んで早速不安にさせられる。シェイクスピア演劇にまつわる「伝統」そこからくる「シリアス」なイメージに対しての発言だろうと思う。 シェイクスピアの時代には、確かに彼の…

笠井叡×麿赤兒 ハヤサスラヒメ 速佐須良姫 感想

■序章〜第一楽章 ・全くの沈黙の中で、舞台に一筋の光の道が描かれ、笠井と麿の二人がすれ違う/触れ違う。 ・コンテンポラリー・ダンスを見たのは多分3回目くらいだけど、笠井さんの動きは「舞踏」とも「コンテンポラリー」とも「オイリュトイミー」ともつ…

文化人類学―社会主義―宗教学―科学―哲学―表象文化論―教育学

◆1◆ 毎週月曜日には素晴らしい授業が集中していて、知的刺激が半端じゃないが、特に今日の人類学の授業は凄かったので少しまとめておこうと思います。途中、この授業と他の学問分野がどれくらい連結したのかを数えつつ…… 先日の社会学で、「人類学の民族誌…

劇団アシイルカ 『403 Forbidden』

あらすじ 三人の男女が部屋の中に閉じ込められている。拉致された理由に心当たりもなく戸惑っていると、一人の女が現れ、「この中の一人が10年前、イルカちゃんを殺しました。その証言をして下さい」と告げ、ルールを説明する。しかし彼女が呼ぶと「殺され…

劇団工 「RAIL IN THE MIRROR」

あらすじ アリスが気がつくと、そこは森だった。次々に現れる姉妹や友人たちは、『不思議の国のアリス』の登場人物の名を名乗るが、どこか現実とは様子が違う。この世界が「夢」であると考えたアリス。しかし彼らは不思議なルールを定めていた。「アリスは幸…

8月の読書メーター

8月の読書メーター読んだ本の数:46冊読んだページ数:12205ページナイス数:0ナイスはじめての構造主義 (講談社現代新書)読了日:08月31日 著者:橋爪 大三郎寝ながら学べる構造主義 (文春新書)読了日:08月31日 著者:内田 樹エンデの遺言―「根源からお金…

『文化人類学入門』まとめ

書籍『文化人類学入門』を元にまとめた見取り図と感想など。 →http://twitpic.com/ag7nyo/full まずは1画像にまとめた「これだけで文化人類学の大枠が分かる!見取り図」……というなんともうさんくさいしろものをどうぞ。PDFバージョン: http://www.scribd.…

劇団ハーベイ・スランフェンバーガーのみる夢 海のプチ公演 「竜送りの夜に」

冒頭、「……というところからこの話は始まるんですけど」 出演者が客に向かって物語を語る、という形式に関しては、チェルフィッチュがオリジナルということはないのだろうけど、このフレーズを言われると「真似」にしか聞こえなくなってしまう。とはいえ、「…

屋根裏展望台『反復する三角形』

○あらすじ:祖母・母・娘の日常と、いくつかの出来事が語られる。断片的なシーンは、繰り返され、組み替えられ、また話が付け加わるときがある。まるで音楽がAメローBメローAメロ―サビ……というように展開していくようでもある。食卓を囲み肉じゃがを食べ…

芸術ゼミ第九回 芸術と教育 芸術と経済

1:経済 芸術分野に公共投資をする意味●ビデオ ・限界効用逓減の法則:レモネード ・芸術は→むしろ二回目、三回目の方が良くなる →限界効用逓減が当てはまらない財 ・フランスの持っているイメージから受ける恩恵。 ・文化事業によって消費が促される、とい…

芸術ゼミ第八回「ファッション」

●[佇まいの獲得]・まとひの呪力―呪具としての衣服 ・呪具 妖刀村正→服にもそれがあるのに、知らずに服に着られてしまっている。 ・佇まいの獲得のために。 佇まい → オーラ ・衣服 → ①布 ②服 ③衣 使用者の態度によって変わる。 ・共同性=共同認識①布=「被…

劇工舎プリズム「からっぽの帝国」感想

あらすじ:ペコー星はメーデ人との戦争に敗北した後、半植民地化し、現在では独立の気運が高まっている。ペコー人の政治団体がテロ、暴力路線に向かう中、ペコー大学での学生運動も激化に向かっていた。リーダー格のシンジョウの演説に引かれたムラタがグル…

劇団綺畸 「あの日踊りだした田中」感想

あらすじ:既に滅びを迎えた世界。辺境の砂漠地帯で、人々は鉱山から、過去の遺物を発掘して暮らしている。ある日、東京に出て新聞記者になったミズキが町へと帰ってくる。旧友の一人であるノブオがおかしくなり、踊り続けている姿を見たとき、ミズキは自分…

まれびとハウス:美術教育ドキュメンタリー鑑賞会 + ディスカッション

次回の東大芸術ゼミで発表して下さる @0bo5 さんのお誘いで参加させていただきました。 まずはまれびとハウスの素敵なイベントルームに感動。 (「こんなんあったら毎日芸術ゼミじゃないですか〜」と後に言われる。死ぬわ!)● 参加者10人ほどの自己紹介の…

芸術ゼミ「演劇」回 ノート

①チェルフィッチュ 「フリータイム」の冒頭を見て感想1 ・ビデオと観客で感じ方がぜんぜん異なるだろう。 ・さまざまなものが「ずれている」と感じている。舞台、言葉、しぐさ。感想2 ・ほかのジャンルと比べたときに「さっぱりわからない性」が高いように…

東大芸術ゼミ「芸術とテクノロジー」回ノート

●七度文庫(自動官能小説作成装置) Q:偶然性? A:要素×要素×要素…の組み合わせで作っている。 →シュルレアリスム:「優美なる屍骸」は完全な偶然だが →文章の傾向を予測、自然になるように工夫がある。 →人間が自動的に頭の中で修正することを期待 →かん…

芸術ゼミ 「文学」回のための準備:覚書

小説はある種のサインを送り、モデル読者を指定する。例えば「昔々……」と話し出せば、そのモデル読者は子どもとなり、大人も子どもを仮想して読む。『エーコの文学講義』より →実験文学はこのサインを送らない/読者が想定できない。● 「作品を値踏みし、点を…

五月祭 「ここに顔」 演劇「目視録」「ゆき渡り」感想

①目視録「これからね、この劇をはじめて行こうと思うんだけど」 あまりにも無造作なセリフが冒頭に来るため、まだ前説明の続きなのかと思わされる。初めに断っておくと、僕はこの劇を客観的に見ることは出来ていないだろう。出演者のうち三人と会話を交わし…

美術論:デュシャン・大ガラスのギャラリー・トーク

今日の「美術論」は駒場の大ガラスを前にしてのギャラリー・トーク。実際にそれを制作した教授(当時大学院生)が、その作品を前にして語る、という非常に豪華な機会。製作過程のビデオを見ながら、制作時の様々な苦労話や楽しかった思い出を色々と聞かせて…

ベンヤミン 複製技術の時代における芸術作品 覚書

Ⅲ「人々の知覚が変化することで、社会も変化する」 複製技術、例えば古くは印刷技術、そして写真や映画が出てくると、それらを受け取る人々の知覚が変化する、という論。インターネットを考えれば納得できるのだろうか?ネット以前の人とネット以後の人で「…

トスカーナの贋作

―①あらすじ― 映画は、ある作家が出版した本「贋作」についての講演を行うシーンから始まる。ライターらしい女性が講演を抜け出し、息子と言い争いを始める。「ママはあのジェームズ(作家)と恋人になりたくて電話番号を渡したんでしょう?」作家は、彼女と…

樋上亮ライブ@渋谷ROOTS

小学校からの友人、色々なバンド・活動を共にした樋上亮の復活ライブ@渋谷ROOTS。「5年ぶり」という言葉に驚いて、最後に見たときが思い出せないことに気がつく。5年と言えば、自分の執筆2年 + 受験勉強2年 + 大学での1年間と重なる。結婚式に出席し…

東京大学服飾団体fab exhibition  感想

神保町のビルとビルの間の隙間、何でもないような不思議な空間で催された展示。ファッション、服飾の展示なのだけれど、今回はその「空間」、そしてその場所の「占有」ということにも(というかむしろこちらに)フォーカスが当たっているように感じます。入…

東大芸術ゼミ:遠足企画『建築散歩』 その② 六本木→新浦安→舞浜

②六本木周辺 表参道を後にして、六本木までの1キロほどをひたすら歩く。炎天下の中汗をたらしつつ、これだけの大所帯では店にも入れないので、コンビにでおにぎりやらパンやらを買って路上でかじる。「体育会系の芸ゼミ」という冗談がこの間から繰り返され…

東大芸術ゼミ:遠足企画『建築散歩』 その① 渋谷→表参道

「メディアはメッセージである」というマーシャル・マクルーハンの言葉を最初に掲げておいてスタート。すぐ説明すると、マクルーハンの考えだと間違いなく「建築」というのも「メディア」の範疇に入るので、つまり「建築もメッセージである」ということが言…

劇団 姫は天蓋付のベッドで眠る 旗揚げ公演 「夢で逢いましょう/大事なお願い」 感想

以前私は夢の中で胡蝶となった。楽しくひらひらと舞っていた。自分が人間であることを忘れていた。はっと目が覚めると人間である自分に気がつく。しかし、私が夢の中で胡蝶となったのか、それとも私は胡蝶で今夢を見て人となっているのか、分からない。私と…

劇団スイッチ第二回公演「泣きたいみたいだ」感想

―脳が腐り始めたから…―ジュリエット―生殖器官の無い―永遠の処女― 死刑囚を迎え入れる刑務所で働く看守Aは、熱意ある男だった。どれほど凶悪な犯罪を犯した殺人者でも、そこで死刑を待つときになれば、もはや罪のつぐないを半ば果たした存在である。刑の執行…

劇団ふつつかもの 第二回公演『死してなお』 感想

ミスマッチのスターウォーズのBGMが鳴る中、木棺を運ぶシーンから劇は始まる。亡くなった父の葬儀のために、久しぶりに集まった四人の家族。妻と二人の息子、一人の娘。今はバラバラに暮らしている家族だが、次第にそうなった原因、父の暴力について語られ始…

劇団綺畸2011年度新人公演 Show on the Run 感想

ブラックホールに愛が吸い込まれる… 笑いあり涙ありの本格ハードボイルドSFアクションスペクタクルラブロマンス 哲学と社会問題と消えた年金問題に切り込んだ衝撃の話題作 "これは演劇版ブレードランナーだ!" (パンフレットより)● 劇団西田組の劇中劇「…